子持ち形成外科専門医の少しタメになる話

形成外科専門医の傷や美容に関する話です

耳が欠けている。小耳症(しょうじしょう)

こんにちは。子持ち形成外科医のぷにです。

今日は小耳症についてお話します。

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小耳症ってなに?

生まれながらにして耳が欠けている状態をいいます。

お母さんのおなかの中でなんらかの障害が生じて、うまく耳が形成されなかったのが原因です。

サリドマイド抗がん剤の一種、レチノイン酸誘導体などが関与しているかもしれないとされていますが、その他で特定の原因ははっきりしていません。

頻度としては5000人に1人程度、男性・右側・片側に多いです。

症状はなに?

見た目として耳が小さいだけではなく、難聴や顔の低形成などを合併したりします。

難聴に関しては反対側の聴力が保たれれば日常生活で困ることはあまりありません。

その他顔の動きが悪かったり、他の先天的な病気も合併することがあり念のため全身を調べる必要があります。

 

治療はなに?

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手術が基本になります。

 1回目の手術で肋軟骨から耳型の枠組みを作成し、それを皮下に埋め込みます。

ある程度の肋軟骨の太さと硬さが必要なため、10歳前後(胸囲60cm以上)で手術を予定します。

2回目の手術として、反対の耳と同じ角度にするため、移植した耳を起こします。

皮膚が足りないため、他の部位からの皮膚移植を行います。

また、その後必要であれば何回か修正手術を行います。

医療が進んで軟骨培養で耳型が作れれば良いのですが、なかなか実現は難しいそうです。

 

見た目の問題で非常にコンプレックスとなることが多いです。

悩んでいるかたは形成外科を受診してください。