子持ち形成外科専門医の少しタメになる話

形成外科専門医の傷や美容に関する話です

『ケミカルピーリング』ってなに?

こんにちは。子持ち形成外科医のぷにです。

今日はピーリングについてお話します。

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ケミカルピーリングは何をするの?

顔の皮膚は日々一番奥から新しい細胞が生まれ、古くなった細胞が垢として剥がれ落ちます。

そのターンオーバーは約28日の周期で繰り返されますが、加齢とともにその周期が伸びたり、乱れたりします。

顔に薬剤を塗布して強制的にターンオーバーを起こすのがケミカルピーリングです。

皮膚表面の古く汚れた角質や、毛穴に詰まった汚れを排除し、新しく綺麗なお肌へと導きます。

 

どんな人にむいている?

• ニキビ
• 毛穴の角栓が顕著なニキビ
• 毛穴の開き、詰まり、黒ずみ、くすみ
• お肌のキメを整える
• シミ、雀卵斑(そばかす)等
• 脂漏性湿疹
• シワ・タルミといった皮膚の弾力の低下
• 古い角質をとることにより美白・美肌効果をお望みの方
などに効果があります。

効果は塗布する薬の濃度や種類によって異なります。

種類は?

 グリコール酸、サリチル酸マクロゴール、トリクロロ酢酸(TCA)、乳酸などを使用します。

患者さんの治療時の皮膚の状態でピーリングの深さは変わってきますので、担当者は常に注意をしながら、状態によって薬品の濃度を変えたり、時には数種類の薬剤を組み合わせ行います。

また、効果がでるまでの回数や頻度も異なります。

グリコール酸

グリコール酸はフルーツ酸とも呼ばれる薬剤で、一般的な日本人の肌と相性の良いスタンダードなピーリング剤です。

分子が小さく肌に浸透しやすいという特徴があり、真皮層への働きかけで肌のハリや潤いの回復を促します。

殺菌作用が強く、アクネ菌や毛穴の詰まりを溶かし、ニキビの炎症を軽減できるためニキビの治療に効果を発揮します。

 

サリチル酸マクロゴール

サリチル酸をマクロゴールという基材に溶かすことによって、角質層と呼ばれる皮膚の表面のみに働くため、ピリピリした刺激や赤みが生じるリスクが低いです。

グリコール酸よりも古い角質除去効果は強いです。

肌質が弱い人にも適していて、ニキビ跡、シワやたるみなどの改善に効果的です。

 

トリクロロ酢酸(TCA)

トリクロロ酢酸は強酸性の物質で、強い腐食性があります。

凹んだニキビ痕をわざと傷つけ、治す力を利用してコラーゲンを増加させて、凹みを持ち上げてニキビ痕などを治します。

アイスピック型やクレーター型の凹んだニキビ痕でお悩みの方におすすめです。

効果が非常に強いですが、1-2週間かさぶたなどが生じ、ダウンタイムが長いのでその点が注意です。

乳酸

乳酸は天然の素材で、角質を除去する力は弱まりますが肌への刺激は少なくすみます。

美白・保湿効果があり、ニキビ跡の色素沈着やシミ・肝斑でお悩みの方におすすめです。
お肌が非常に弱い方でもおすすめです。

エステやセルフピーリングはどう?

エステや自宅でおこなうピーリングは安全性のため薬剤の濃度が非常に低く設定されています。

例えばサリチル酸ではセルフピーリング用スキンケア用品では約0.2%の濃度で配合されていますが、医療機関では約30%の濃度の薬剤を使用します。

その差に比例して効果も異なります。

ではセルフピーリング用では副作用が起きないかというとそうではありません。

誤った使用方法、肌の種類によっては副作用が起こってしまいます。

ケミカルピーリングはそれほど高価な処置ではないので、可能であれば定期的に医療機関でおこなうほうがメリットは大きいかと思います。