子持ち形成外科専門医の少しタメになる話

形成外科専門医の傷や美容に関する話です

まぶたがあいていない!?先天性眼瞼下垂(せんてんせいがんけんかすい)

こんにちは。子持ち形成外科医のぷにです。

今日は先天性眼瞼下垂についてお話します。

 

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 先天性眼瞼下垂ってなに?

生まれつき目を空ける筋肉(上眼瞼挙筋)が欠損しているためまぶたが開かず、瞳孔が隠れてしまいます。

片目、両目の場合があります。頻度としては約80%が片目です。

 

まれに弱視や斜視の原因となってしまうため、注意が必要です。

治療法はなに?

手術が必要になります。

手術時期、手術方法はいろいろな考え方があります。

私は弱視など早く手術をする必要がなければ3歳前後で手術を予定します。

ずっと片方の目のみで使用していると、両方の目でみること(両眼視機能)が獲得できなくなります。

そのため、手術前までは一定の時間空かない目を他動的にあけさせ、早くから両眼視機能を養わせます。

手術は全身麻酔で行います。

太ももから腱を採取し、まぶたとおでこの筋肉(前頭筋)を橋渡しさせます。

すると眉毛を上げるとまぶたが開くあくようになります。

キズは眉毛の上に1cm弱とまぶたの方は二重の線となります。あまり目立ちません。

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術後気をつけること。

手術直後は移植した腱がずれたりしないように、子供がいじらないように見張る必要があります。

1ヶ月ほど経過すると移植した腱は固定され、ずれたりしなくなります。

その後半年かけて徐々に移植した腱が短くなり、まぶたがあいていきます。

予定以上に目があいてしまった場合やあかなかった場合ともに修正手術が必要になります。

特に注意するのがあきすぎている場合で、角膜にキズがつくようであれば早急に修正が必要になります。

 

私のところに60歳の患者さんが受診されました。

生まれつき目が細いとしか認識していなく、周囲の病院でも今まで何も指摘されなかったそうです。

自分が病気で治療法があるなんて知らなかったそうです。

手術をして、まぶたがあくようになると、『世界が変わりました!!』と泣いて喜んでくださりました。

目があくようになることは人生を変えます。

周囲に疑いのある子供さんがいたら是非形成外科受診を勧めてください。